⑮最終投票・フラグ本(脚本)
〇おしゃれな教室
4冊のうち、読みたい本はどれだろう。
めぐるは最終投票の直前まで考えていた。
(ア)の『寺山修司 少女詩集』は、今まさに読んでいる途中だ。「読んでみたい」と言っていいのか微妙なところだ。
(イ)の『ふたご』も読んでみたい。でも小説の前に、SEKAI NO OWARIの曲をしっかり聴いておきたい気もする。
(ウ)の『トンカツの丸かじり』は、やはり小板橋家の食堂で読んでみたい。
家族で外食する時、親に頼んでみようかと思った。
(エ)の『PEANUTS』は、読むとなると覚悟が要りそうだ。できることなら『ピーナッツ全集』を全巻読破してみたい。
あれこれ迷って考えるのも楽しいものだった。
そしてめぐるが迷っている間にも、先生は挙手投票を進めていく。
山里先生「はい、そんなわけで、集計結果!」
山里先生「いやー、どのフレーズも票を集めて接戦だったけど、意外な結果が出たなー!」
山里先生「いや、意外っていったら悪いか。 紹介役や投票役のトークが導いた、今日のフラグフレーズの結果です!」
山里先生「最終ステージで最多得票となった本、大勢の心にプラグを立てた「フラグ本」は・・・」
山里先生「『トンカツの丸かじり』でした!」
小板橋「投票してくれた人、ありがとー! 実は私も、みんなと喋りながら、一度しっかり読んどこうかなーって思ってましたー」
森「投票直前に戸橋が登場、ってのが大きかったよねー。 シャウトして歌ってるとこ、想像しちゃったもん!」
戸橋「ん? ・・・なんで俺が歌うの?」
どっと笑いが涌いた。
一人だけ事情を知らない戸橋くんの戸惑い顔が、妙におかしかったのだ。
山里先生「まあ戸橋には、後で誰か話してやってくれよ。 どんなトークで盛り上がったか──遅刻してもったいなかったって思わせてやろう!」
山里先生「それから戸橋は、崎本にお礼いっとけよー。 お前の代わりに(ア)のフレーズの紹介役をやってくれたんだから」
戸橋「あー、崎本がやってくれたの? ありがと! 最初から最後まで、お世話になりっぱなしって感じだなー」
めぐる「大丈夫、おかげで私も楽しかったし・・・」
戸橋「崎本はどんなフレーズ出したんだ?」
山里先生「ああ、崎本のフレーズはまだ内緒なんだ。 今回は手始めに4つのフレーズを使っただけだからさ」
山里先生「みんなさえよかったら──時々こうやってフラグフレーズを開催して、他の人が選んだフレーズも紹介していきたい。 どうかな?」
誰からともなく拍手が涌いた。
またやってみたいと思う生徒も多いのだろう。
めぐるもそうだった。
今度は自分で見つけたフレーズで本を紹介してみたい。今回提出したフレーズも、みんなと語ってみたい。
山里先生「オッケー、拍手ありがとう! また近いうちに開催しような」
山里先生「そん時は戸橋、もう遅刻すんなよ!」
戸橋「はーい、努力しまーす」
そこで授業の終わりのチャイムが鳴った。
次の開催はいつになるのだろう。
めぐるが見つけたフレーズを読んだとき、戸橋くんはどんな顔をするだろう。
今から楽しみだった。
先生、すてきですね!
私もこの授業に参加してみたいです。
実在する本からのフレーズだったことに驚きました!
私はやっぱり、最終的には(ア)を読んでみたいなと思います