続 怪の騒架

嬌乃湾子

エピソード1(脚本)

続 怪の騒架

嬌乃湾子

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続 怪の騒架
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〇魔界
  時計を手にし、その中の怪人に姿を変えた時から俺の中の奴は毎晩訴えるかのように夢に出てきた。
  見たこともない景色。その中で彼奴は悪鬼の如く戦いを繰り返す
  しかしそんな彼等にもある出来事が起こったのだ
ソウカ「ン・・・?」

〇マンション前の大通り
  ヤスは物の怪に襲われるという時計を持って居なくなった。
  暫く経ったある日、とある人物が俺の前に現れる。
ルナ「こんにちは。そいや君、だよね」
そいや「だっ、誰?」
ルナ「ヤスと同じ会社に居るって言ったら解る?私の名はルナ」
そいや「という事は・・・ハグロトンボか!? まさか君みたいな娘が・・・」
ルナ「うふふ、この姿で色んなものを欺いてるの。 それはそうと君、ヤスの居場所を知ってるかな?」
そいや「こっちが聞きたいよ、どうせヤスよりあれの事が知りたいんだろ!」
そいや「あの物の怪に狙われるっていう時計 あれのせいでヤス達は・・・」
ルナ「あの時計は物の怪が封じ込められていると言われていて」
ルナ「ヤスは何らかの形であれを手にしたとみえるわ」
ルナ「その事によって」
ルナ「最悪彼は物の怪に取り憑かれている可能性があるのよ」
そいや「ヤスが物の怪に・・・? そんなの、絶対にウソだ!」
ルナ「だから時計も彼も早く見つけ出したいの」
ルナ「状況によっては考えなくちゃならないからね」
そいや「・・・・・・」
そいや「ヤスが言っていた通りだ。自分は会社の中では使い捨てだったと」
そいや「君は彗花さんとは大違いだ。二人の事なんて本当はどうでもいいんだろ」
ルナ「フフフ。組織に居ると譲れない事情も出来てくるのよ」
ルナ「君の所にはまず来ないだろうから どう、一緒に探してみる?」
そいや「・・・あ、ああ」
  俺はルナという人を信じた訳では無いが、彼女に近づく事で何かが解ると思った。

〇時計台の中
  突然現れた建物
  そこに居た人物。その幼き姿に奴は侮りはした
ソウカ「ククク・・・何だこいつ? この走火が斬ってやろう」
謎の人物「君、その剣で今まで斬ったのは何人?僕が変えてあげるからそれで償うんだよ!」
ソウカ「何だと!!」
  そう言われ、自分に贖罪を求めるように感じた奴は憤りを爆発させた
ソウカ「!?」
謎の人物「ほんと騒がしいなー 君の名はこれからは走火じゃ無くて騒架だね!」
ソウカ「黙れ、この虫ケラがぁ!!」
ソウカ「がぁあああーー!!!」
謎の人物「君たちはこの中に閉じ込めるよ」
謎の人物「あとこの世界からは居なくなって貰うからね!」
  それから架の時計の中に居た怪人ソウカ。どうやってこの世界に来たのかは知らないが

〇入り組んだ路地裏
  ソウカはハグロトンボにいた俺を使い同化する事によって怪人の姿を現せるようになった。
  そんな奴に縛られる人生を送る羽目になった俺
  いつ来るかも知れぬ怪人から逃れる日々を送っていた頃
桃「おかあさん、店の裏に誰か居るよ!」
藍さん「まあ、どうしたの?・・・ しっかり!」

〇カウンター席
  親切な女店主に助けられ、住み込みで働かせてもらっている。
藍さん「あら、ヤスさん。今日はよく眠れました? ・・・ってその顔はそうでもなさそうね」
ヤス「すみません・・・男手が必要だろうにこんな顔で・・・」
藍さん「無理しないで。ちゃんと元気になってからでいいから」
桃「ヤスー!それじゃあ遊んでよ! あたしと遊ぶ条件にまかない付きでここにいるんでしょ?」
藍さん「こらっ桃!失礼でしょ」
藍さん「ご免なさい。こっちの方が面等よね」
ヤス「いえ、逆に気が紛れます」
藍さん「でも女手一つで店を開いているから助かっているのよ」
藍さん「私が手が空かない時にあの娘を守ってあげられなくてね 最近この町も物騒な事が多くてほんと困ってるわ」
町の有力者「ぐふふ。そんなのワシに頼めば幾らでも何とかするぞい」
  そう言って何人もの手下と店に現れた男。彼はこの辺の有力者らしい
町の有力者「この店も君一人じゃ大変じゃろうて。ん?困った事はあるじゃろ? 何でもワシに頼みなさい!」
藍さん「結構です。私、貴方の世話にはなりませんから。 大声で誰か呼びますよ!」
町の有力者「生意気な!・・・まあその内、店もあんたも手に入れてやるからの」
「行くぞ!」
有力者の手下「・・・・・・」
  奴等が去ろうとした時、彼の手下の中に黙って俺を見ている者が居た
  その目に吸い込まれるように異様なものを感じた俺は
  何か悪い予感がし店を飛び出した

〇ビルの裏通り
有力者の手下「やっぱり来たか。気付いていたよ。君があの時計を持っている者だと」
ヤス「怪人も金で動くようになったとはな。ウケるぜ」
有力者の手下「天敵から逃れる為に敢えて別の強敵に近づく。いかにも弱い人間が考える事だよ」
有力者の手下「それはそうと私は君のところに居るあいつを抹殺したいんだが」
有力者の手下「もっとも効率的に消す方法を思い付いた。試してもいいかな?」
ヤス「何だと?」
ウンム「それは人間でいる内に君を殺る事さ!!」
ウンム「くたばれ!!」
  奴に斬られようとしたその時、俺の中の「奴」が動いた!!
ウンム「むっ!!」
ソウカ「久しぶりだなー雲霧」
ウンム「ソウカぁーー!!」

〇駅前ロータリー(駅名無し)
そいや「あれは!」
  向こうの方で爆破音と硝煙が広がっているのを目にした俺は只ならない恐怖を感じた
ルナ「この付近で怪しい姿をした者が出るって噂を聞いて来たけど・・・どうやら物の怪の匂いがするわね」
町の有力者「そうじゃ。あれはワシが化け物を雇ったんじゃ」
ルナ「何ですって!?」
町の有力者「ふっふっふっ、私は町の有力者。あらゆる力を持ってして欲しいものを手に入れる。例えどんな手を使ってもな!」
町の有力者「このまま町が壊されても良いのか?貴様ら、これ以上奴に暴れて欲しく無ければワシに乞い従うがいい!!」
ルナ「うるさいわね!!」
町の有力者「ぶがっ!」

〇街中の公園
ウンム「ははは、再びお前と戦いを味わうとはな。なんて愉快なんだ」
ソウカ「くだらねぇ、一緒にするな」
ウンム「じゃあ何だというのだ?ん?」
ソウカ「俺は」
ソウカ「嘗ては破滅を楽しんでいた。だが今は」
ソウカ「大事なものを守る為に戦う!」
藍さん「な、何?」
桃「キャーッ怖いよ!」
  な・・・何で二人がここに?急に店を飛び出した俺を探しにきたのか?
ウンム「ククク・・・」
ウンム「ははは、ならば証明してやろう!」
ウンム「そんなものは只の絶望だと!!」
桃「おかあさん!」
ソウカ「すんじゃねぇえーーー!!!!」
ウンム「ぐぁあーっ!!」

〇荒れた公園
ルナ「物の怪に遭遇したとお聞きしました。お怪我はありませんでしたか?」
藍さん「はい。娘を守る為、化け物が戦っている間に必死で逃げました・・・」
ルナ「実は私たち、人を探していて・・・ この人に見覚えはありませんか?」
  そう言ってルナは彼女にヤスの写真を見せた
藍さん「ええ!うちで働いていましたが急に店を飛び出して・・・彼、どこに行ったのかしら?」
ルナ「彼女はヤスの事を知っていたわ」
ルナ「さっきの騒動と明らかに関係あるっぽいよね」
そいや「ヤスが物の怪の時計を持っていたから? ・・・本当にお前なのか」
  ヤスはまた人知れず姿を消した。俺達を避けるかのように・・・

〇海岸の岩場
  それからも俺はソウカと共この世界に現れる怪人達と闘い続けた。
漁師のすた「うわっ、何だ、化け物!?」
ソウカ「こいつは俺が相手だ。死にたくなかったら失せな」
スイグ「死ぬのはお前だソウカ!!」
ソウカ「そんなもん俺の炎の敵じゃねえ!」
  大切な仲間を守る為に逃げ続ける生活にも嫌気が指していた時だった
ルナ「これで確定ね。ヤスは怪の者となってしまったわ」
ルナ「そいや君はもういいわ。お疲れ様」
そいや「な・・・なんだよ。ヤスが見つかったら俺は用無しなんて」
ルナ「さっさと帰らないと見たくないものを見なくちゃならなくなるわよ」
しろ「ルナ。作戦を実行する」
ルナ「しろ上官!」
ルナ「彼は仲間だったんですよ。公になればまずいのでは」
しろ「ヤスはもう人ではない。今こそこれを試す時」
しろ「我々が密かに開発した、怪人でなくても倒す事が出来る兵器を!」
討伐1「物の怪共、殺られるがいい!」
ソウカ「むっ!?」
ソウカ「まずい!」
スイグ「うわぁあああー!!」
討伐1「こいつの残骸は回収しろ、更なる研究をしなければならない」
そいや「あの化け物を倒すなんて・・・」
しろ「解ったかい坊や。これ以上任務の邪魔をするのなら只じゃおかないよ」
そいや「待ってくれ!」
そいや「せめて・・・俺がやったら駄目か?」
しろ「しょうがないなあ」
しろ「但し逃がしたりしたらお前も許さないぞ」

〇寂れたドライブイン
そいや「ここにホントにヤスが居るのか?」
ルナ「そいや君、ホントに一人で大丈夫?」
そいや「ああ・・・!」
「ヤス!」
ヤス「そいやじゃないか!?」
そいや「・・・!」
ヤス「なっ!?」
討伐2「お前は・・・俺の手で倒す!!!」
ソウカ「うわぁあああー!!」
ソウカ「お前も奴等の回し者になったって訳か」
討伐2「ミナちゃんや彗花さんを酷い目に会わせたそれは放っておく訳にはいかないんだ!」
討伐2「くぁあー!」
討伐2「何!?」
?「二人共、喧嘩は止めてー」
ヤス「ま・・・まさか彗花!?」
ヤス「この家に居る、怪人に襲われた娘ってのはお前だったのか?」
?「私はリラク」
そいや「・・・彗花さんとは別人なのか!?」
ヤス「・・・・・・・・・」
ヤス「俺の所にいるソウカも、ドラマのキャストが突然替わったみたいな展開に納得していない」
ヤス「何故なら、その名はソウカの世界にいた者の名だそうだ」
?「私は星の王。仮の姿で存在している」
?「君達を時計に閉じ込めたのも私。あの時計は異次元を航る道具なんだよ」
ヤス「何でそんな事をした!と言っている」
?「君たちは戦いを繰り返す内、強さを求めるが故に怪人の姿に変貌した」
?「このままでは世界が滅びると思い知り合いの時計職人に頼んだんだ。君達を追い出そうと・・・」
?「彼には仲間を斬りながら悔いる人生を送って欲しかったが」
?「とばっちりを受けたヤス君があんまりだから彼には消えて貰おう」
ヤス「確かに今の身の内話を聞いて正直、共感はしなかった」
ヤス「だけど俺と居る奴は変わってきている」
?「だったら手伝ってくれ」
?「この闘いの張本人がいるでしょ彼をどうにかしたいのだ」

〇古い畳部屋
漁師のすた「よう、具合はどうだい?」
漁師のすた「魚ならあるぞ、食べろ!」
ヤス「何で俺を助けた。さっきあれを見ただろ」
漁師のすた「お前は俺を助けてくれただろう。悪い奴では無いって解ってるさ!」
漁師のすた「ここには俺と親戚の娘がいるが、あいつは伏せっててさ」
漁師のすた「さっきみたいな化け物に襲われたんだと。でも気にするなよ」
ヤス「・・・・・・・・・」

〇開けた交差点
しろ「ルナ、上手くいったか」
ルナ「しろ上官。どうしてヤスの居場所が判ったのですか?」
ルナ「ひょっとして貴方もも怪人?」
しろ「何を言っている。失礼な」
ルナ「嘘おっしゃい!」
しろ「ククク・・・」
しろ「ん?」
ヤス「上官に成り済ましていたとはな」
しろ「なんだよ。此処で再び戦いの謳歌を楽しもうというのに」
ヤス「ソウカはお前をぶっ殺す と言っている」
しろ「バカめ!!」
ソウカ「いくぜ!」
電戒「この世界が手に入れば人間を使わなくても生きられる。何故邪魔をする!」
ソウカ「黙れ、ここはお前の居る所では無い」
ソウカ「お前は俺の架の剣で斬る!!」
電戒「ぐっ!」
電戒「ウグァア!!」

〇時計
電戒「ううう・・・くそぅ」
リラク王「元に戻ったか。だがもう行こう」
リラク王「お前もだ、ソウカ」
ヤス「ソウカ・・・」
ヤス「今度は人の姿で会おう」
  俺の中にいたソウカが消える前
  奴の姿を見た

〇線路沿いの道
そいや「ヤス、彼は自分の世界に帰ったのかな?」
ヤス「さあな」
ヤス「だがソウカは笑っていた」
  自分の世界に戻っても笑っているだろう。その時また会えるかもしれない・・・

コメント

  • 時計が怪人を閉じ込めて異次元を移動するという設定が実に魅力的な物語でした。ヤスの影響を受けてソウカの心境に変化があったラストもよかったです。

  • スピーディなストーリー展開に読み終わったあともう一度読みたくなる余韻があります。自分を助けてくれた人のために戦うという変化に人間味を感じました。

  • 昔の味方が今の敵で…頭がついていかない!笑
    けど、先が読めないものだからこそ読んでいて展開予想が色々と出来て楽しかったです!

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