アイドルはヒーローじゃない

上尾つぐみ

錯綜する思い(脚本)

アイドルはヒーローじゃない

上尾つぐみ

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〇病室の前
義田信吾「・・・」
陽向美音「シン兄ぃ、待ってたんだ」
義田信吾「美音」
義田信吾「罰斗くんのことなんだけど──」
陽向美音「あ、うん! 全然大丈夫だよ!」
陽向美音「ベルはああ言うけど、 私は必ず罰斗くんを連れ戻してみせるから」
義田信吾「それは難しいんじゃないかな」
陽向美音「なんでそんなこと言うの?」
義田信吾「ずっとジャスティスシグナルをやってきた 僕ですら、後付のネオダークネスオーブと 戦うのは苦しいからね」
義田信吾「今も身体の中でドス黒いものが 渦巻いている感覚がある・・・ まだ慣れないよ」
義田信吾「僕ですらこんな調子だ」
義田信吾「本来からヴィランだった罰斗くんが 美音の呼びかけだけで戻ってくるとは 思えないよ」
陽向美音「シン兄ぃがそう言うんじゃあ・・・」
陽向美音「でも、私──」
陽向美音「私、やっぱり諦めたくない!」
陽向美音「少しでも罰斗くんに声が届くよう、 今からボイトレしてくる!」
義田信吾「あっ・・・」
  アイツに余計な一言は効かねぇみてーだな
義田信吾「・・・!」
間明紅蓮「よォ!」
義田信吾「紅蓮くん!」
義田信吾「・・・カッコ悪いところを見せたね」
間明紅蓮「わざとしゃしゃって憎まれ口 叩いたことか?」
義田信吾「・・・今そんな場合じゃないことは わかってるんだけどね」
間明紅蓮「ま、いいんじゃねーの?」
義田信吾「!?」
間明紅蓮「無理に正義感ぶったお前より、 今のお前のほうが人間らしいじゃねーか」
義田信吾「おいおい、 そんなこと言ってる場合じゃ・・・」
間明紅蓮「ま、美音のやつは 気にしてなかったみたいだし」
間明紅蓮「お前だけ気にしても損だろ!」
義田信吾「そ、そんなものかなぁ・・・」

〇総合病院
陽向美音「・・・ふぅ」
陽向美音「罰斗くん・・・ 必ず帰ってくるよね・・・?」
陽向美音「あーあ、私ってなんだかんだ、いつも シン兄ぃや清歌ちゃんやベルや罰斗くんと 一緒だったから」
陽向美音「一人になるのって久しぶりかも・・・」
陽向美音「・・・寂しいなぁ」
陽向美音(ねぇ、罰斗くん)
陽向美音(罰斗くんは寂しくないの・・・?)

〇教会内
  その日の夜
アレグレット「ウフフ、世界にどんどん混乱が 広がっているわね、お父様」
パニッシュ「・・・アレグレット、嬉しそうだな」
アレグレット「ウフフ、それはもちろん!」
パニッシュ「アレグレット。 お前は何が嬉しいんだ?」
アレグレット「えっ。それはもちろん、 他人の不幸はお父様の幸福で・・・」
パニッシュ「──そうか」
アレグレット「きゃあっ!?」
アレグレット「お・・・お父様?」
パニッシュ「なんでもない。 ――少し夜風に当たってくる」

〇教会
パニッシュ「────」
パニッシュ(やはり、娘であるアレグレットすらも この僕の理解者たるには程遠い・・・)
パニッシュ(しかし── 虚守罰斗として陽向美音に会ったとき)
パニッシュ(あのときに感じた胸の高鳴りは──)
パニッシュ「陽向美音・・・ ぜひ手中に収めたくなったよ」

次のエピソード:新たな武器:メロディロッド

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