それは桜の頃(脚本)
〇桜並木
──2XXX年──
〇東京全景
──日本──
〇繁華な通り
女性「昨日の夜ご飯はマー君の好きなハンバーグだったから、今日の夜ご飯はパパの好きなカレーよ」
子供「ボク、カレーも好き!」
──そして、その──
〇空
〇雲の上
〇宇宙ステーション
──上空、約400km地点──
〇コックピット
???「──ここまで、全て予定通りです」
???「それでは──」
???「ハイ、潜行状態解除! 全部隊へ通信回線開け」
???「ハッ! 潜行状態解除! エンジン出力全開! 通信回線開け!」
〇コックピット
???「全通信よし 各艦より出撃準備完了の報告有り」
???「全ての準備が揃いました ──発令をお願いします」
???「・・・・・・ああ」
???「ただ今の時刻をもって、本作戦──」
???「1億総火の玉怪人作戦を開始する!!!!」
〇宇宙戦艦の甲板
???「お前は波照間だったな?」
???「ハイ、自分が一番槍であります!」
???「鼻息荒いな、だが悪くは無い・・・ よし、後30秒だ、遅れるなよ」
???「ジャストで行きます!」
〇宇宙戦艦の甲板
音声放送「作戦開始地点に接近、発艦用意よろし! ご武運を!!」
???「よ、よし! ゴトウサンイ、発進します!」
???「・・・アイツ、声が裏返っていましたけど大丈夫でしょうか?」
???「自分の足で飛べたんだ、問題無いだろう」
???「・・・そうっすね」
???「お前もそろそろだろう?」
???「ハイイッサ! お先に失礼イタシします!」
???「お前さんも、声が裏返っているじゃないかよ・・・」
???「さて・・・俺は──」
〇雲の上
〇東京全景
〇繁華な通り
子供「ねえ、ママ! ねえ! アレ! アレ見て!」
女性「なあに? マー君?」
子供「アレ! お星さま!」
〇落下する隕石
〇繁華な通り
女性「──えっ?」
子供「流れ星だよ!!」
女性「マー君伏せてェ!!!!」
〇炎
〇黒背景
〇黒背景
子供「うっ・・・うぅーん・・・」
〇街外れの荒地
子供「痛てて・・・」
子供「・・・ママ?」
子供「ママ、ママは?」
子供「ママーッ! ママーーッ!!」
子供「ママーッ! どこなのー!?」
子供「痛てて、なにかふんで転んじゃった・・・」
子供「なんか、やわらかかったな?」
子供「・・・コレ・・・なん、だろう・・・」
子供「え!? な、なに??」
〇街外れの荒地
若い女性「イヤ、イヤぁ!!?」
若い女性「来ないで・・・ コッチに、来ないでよぉ・・・」
男性「な、何で? 何で、こんな、事が──」
男性「僕たちが、いったいナニを──」
〇街外れの荒地
子供「あ、あぁ・・・」
子供「ヒィッ!? こっ、こっちにくるなあ!!」
子供「あ、あ、あ──」
子供「うわああああっっ!!!!??」
子供「あああぁ!!?? あ、あし!? ボクの、あしがああああああ!!!!??」
「うああああっ!!!!??」
「うああああっ!!?」
「うえええええんっ!!!!!!」
「イヤだあああああああぁっ!!!!」
「イヤだよおおおおぉーっ!!!!」
「誰か助けてええええーっ!!!!」
???「────人間は」
???「人間は、手足を切り落としたり──」
???「腹の中の適当な臓器でも潰せば──簡単に死ぬ」
「うわああああんっ!!!!!!」
???「こうして、頭の上半分を踏み潰せば叫ぶ事も泣く事も出来なくなる──」
???「──────そう」
???「────キサマらとは違ってな」
「えっ?」
「そうなの?」
子供だったモノ「そっか~」
子供だったモノ「最近ニンゲンと会わないから忘れていたよ」
子供だったモノ「で? お前ってナニモノよ?」
〇黒背景
〇宇宙ステーション
──同時刻、第13号宇宙ステーション
戦闘改修艦『あまてらす』──
〇コックピット
通信士「犬吠埼大臣、各国の支援宇宙軍より、日本国の国土奪還、捲土重来を祈るとの通信多数です」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「そうか、感謝の意を伝えてくれ」
通信士「ハッ!」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「幕僚長の作戦立案を聞いた時は、君の正気を疑ったのだがね・・・今の彼らはまさに火の玉だ」
統合幕僚長 森前 武志「私も、大臣や総理に狂ったと思われるのではないか──と考えていましたよ」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「確かにコレしか無かった──」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「だが、実際に狂気的だった──」
〇黒背景
「人を殺し、そして人に成り代わる化け物」
「ヤツら──『怪魔』の体細胞を人間の体に移植するなんて・・・」
「ですが、怪魔どもが張り巡らせた防衛装置──」
〇スカイフィッシュの群れ
「『Security All Knock Out of Kite Uchronia』 通称──『サコク』」
「ヤツらの対空、対海防衛装置を抜き、打撃を与えるにはこの作戦しか無かったのです」
〇コックピット
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「確かにこの技術『怪人化』は、航空機や誘導弾、果ては熱核兵器すら防御するサコクに対して──」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「身体接触時、容易に破壊出来るという特効的な攻撃力を有している」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「そして、身体のみで大気圏突入に耐え得る強度の肉体を手に入れる・・・確かに、現状唯一の手段だ」
統合幕僚長 森前 武志「・・・・・・」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「だが、怪人化への最大のリスク──」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「術後の生存期限──およそ、二週間──」
統合幕僚長 森前 武志「大臣、短くなった寿命を後悔されておられるのですか?」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「私の寿命では無いッ!!」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「・・・私ではなく、怪人になった士官と──市民だ」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「怪人化志願者500万人・・・こんな重みに誰が耐えられるものか」
統合幕僚長 森前 武志「・・・彼らと苦しみを共にする為に、我々指揮官も怪人化の処置を受けました」
捲土重来特命担当大臣 犬吠埼 健太「私にとってそれは、ただの免罪符だよ・・・」
統合幕僚長 森前 武志「大臣・・・」
〇宇宙ステーション
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とても面白かったです!途中からの展開に驚かされ、息詰まる戦闘シーンや登場人物たちの心情などが織り混ざり、とても見応えがありました!
深夜に読ませて頂いたせいか、思いのほか怖かったです😭
マー君ーーー❗と叫びました。
背景とエフェクトの使い方がお上手で、アニメっぽかったです✨
シン・ゴジラ感を感じる、人々の覚悟に胸を打つ作品でした。誰かの都合で火の玉になるのではなく、自国を、自分の家族を、救おうと一丸になっている様は、残念ながらフィクション世界でしか実現しないでしょうが、美しく儚くそれでいて力強さを感じます。