エピソード1(脚本)
〇小さな小屋
父「じゃあ、父さんと母さんは食料を調達してくる」
母「いい子にして待っていてね」
ユウ「僕も一緒に連れてってよ」
父「ユウにはまだ早い」
母「外には恐ろしいゾンビがたくさんいるのよ」
ユウ「わかってるよ! パパとママを手伝いたいんだ」
ユウ「それに…外の世界を見てみたくて」
父「もう少し大きくなったらな」
母「ユウ、いい子だからパパとママの言う事を聞いて?」
ユウ「・・・わかったよ」
父「生き残った人間の中には他の人間を殺して食料を奪おうとする奴らがいる」
父「誰が来ても絶対に声を出すんじゃないぞ」
母「ドアは開かないようにしておくからね」
ユウ「うん、いってらっしゃい」
〇ボロい山小屋
僕が赤ちゃんの頃、外の世界はゾンビという人喰いの化け物が大量発生し人間の数が減ってしまったらしい
パパとママはゾンビの少ない山の別荘に避難して僕を育てた
僕はこの家から一度も出た事がない
ユウ「退屈だな」
ユウ「記録ビデオでも見ようかな」
僕はパパが撮影した記録ビデオで外の世界やゾンビの事を勉強している
〇黒
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〇電器街
ゾンビ「ウガ・・・アア・・・」
若い女性「え?な、何?」
ゾンビ「ガアアアア!」
若い女性「きゃああああ!」
ガブッ・・・ガリ・・・ムシャ・・・
ゾンビ「ア・・・アア・・・」
ゾンビに噛まれると感染してゾンビになるってパパが言っていた
〇ボロい山小屋
ユウ「僕ならゾンビから逃げられるのに」
ユウ「早く外に出てみたいな」
ドン…ドンドン!
ユウ「!!」
〇小さな小屋
ドン!ドン!ドン!ドン!
ユウ「ゾ、ゾンビ!?」
???「誰かいないか?」
ユウ「人間!?」
ガチャ!ガチャガチャ!
???「クソッ、鍵が掛かってる! 中に誰かいないか?」
???「道に迷ってしまったんだ! 誰か居たら開けてくれ!」
ユウ「(食料を奪いに来た人間かも…)」
???「うわ!なんだ!?」
ユウ「!!」
???「やめろ、やめてくれ!ぎゃああああ!」
ユウ「静かに・・・なった?」
ガチャガチャ!
ユウ「か、鍵が!!」
ガチャ!バタン!
ユウ「うわあああ!」
〇小さな小屋
父「はぁ…はぁ…」
母「ユウ!大丈夫? 怖かったでしょう!?」
ユウ「パパ!ママ!」
ユウ「外に人が!」
父「ああ、ゾンビに襲われていた」
母「助けようとしたけど…間に合わなかったわ」
ユウ「ゾ、ゾンビ…?」
父「ゾンビは倒したから大丈夫だ」
父「食料も集める事ができた」
母「ほら、お菓子もあるわよ」
母「夕飯出来るまでお菓子食べて待っててね」
ユウ「うん!」
〇小さな小屋
数日後…
ドン!ドン!ドン!ドン!
男の声「大人しく出てきなさい!」
ユウ「ん…どうしたの?」
母「あなた…」
父「ああ、わかってる」
ユウ「パパ…?」
父「ママ、ユウを地下に」
母「ユウ、こっちに」
ユウ「う、うん」
〇地下室
母「ユウ、ここに隠れていなさい」
母「パパかママが来るまで出たらダメよ」
ユウ「僕も戦うよ!」
母「いいから!」
母「パパとママは大丈夫だ、だから言う通りにして」
ユウ「…うん、わかった」
母「ユウ、パパもママもあなたを愛してるわ 忘れないでね」
ユウ「うん!大きくなったら僕が二人を守るよ」
母「ふふ…ありがとう」
ユウ「ママ…」
〇小さな小屋
ドォン!ドォン!
母「あなた…」
父「奴ら、ドアを破るつもりだ」
父「これを」
父「奴らが入って来たら…」
母「殺してやるわ!」
母「ユウは必ず守る!」
父「そうだな、ユウは私達の可愛い子供なんだから」
ドカン!バリバリバリバリ!
父「来るぞ!」
母「うわああああ!」
〇地下室
パン!パン!
ユウ「銃の音!?」
パァン!パァン!ガシャーン!
ユウ「パパ…ママ…」
ユウ「音が止んだ?」
ガチャ…
ユウ「!!」
隊長「きみ、大丈夫か!?」
ユウ「パパとママに何をした!」
隊長「何!?」
ユウ「うわぁー!」
隊長「やめなさい!暴れるんじゃない!」
隊長「連れて行け!」
隊員「了解!」
ユウ「うわぁ?やめろ!はなせ!」
〇綺麗な病室
警察官「少しは落ち着いたかい?」
ユウ「ここは…?」
警察官「ここは病院だよ」
ユウ「病院?ビデオで見たことがある…」
ユウ「あ!ゾンビ! ゾンビはどこにいるの!?」
警察官「ゾンビ?ゾンビはいないよ あれは映画とか漫画の中だけのものだからね」
ユウ「嘘だ! 僕、記録ビデオでみたんだ!」
警察官「これかい?」
ユウ「それだよ!それにゾンビが…」
警察官「これは映画の一部を編集したものなんだ」
ユウ「映画?編集?」
警察官「作り物で本当じゃないってことだよ」
ユウ「パパととママが嘘をつくわけない!」
警察官「窓から外を見てごらん ゾンビなんていないだろう?」
警察官「それに、ここに来るまでゾンビを見たかい?」
ユウ「…見てない」
ユウ「パパとママをどうしたの?どこにいるの?」
警察官「よく聞いて欲しい あの二人は君の本当のママとパパじゃないんだ」
ユウ「えっ…」
警察官「君の本当の名前はアキヒト 赤ちゃんの頃、あの二人に誘拐されたんだ」
警察官「あの二人は君を本当の親から誘拐した悪者なんだよ」
警察官「外に出ないよう、ゾンビがいるって嘘をついて君を閉じ込めていたんだ」
警察官「家に来た人もゾンビが襲ったんじゃない あの二人が…」
ユウ「そんな…パパとママが悪者…?」
ユウ「僕、これからどうなるの?」
警察官「心配いらない」
警察官「君の本当のお父さんとお母さんが待っている」
ユウ「本当のお父さんと…お母さん」
警察官「君が生きているとずっと信じて待ってたんだ」
アキヒトの父「アキヒト!」
アキヒトの母「本当に…無事で良かった」
ユウ「お父さん!お母さん!」
〇病院の廊下
警察官「あの子、良かったですね」
警察官「ああ、離れていても親子だってわかるんだな」
警察官「ところで犯人の二人は?」
警察官「攻撃して来た為、突入部隊が発砲 二人とも即死だったそうだ」
警察官「登山者を殺して荷物を奪っていたなんて恐ろしいですね」
警察官「何を思って子供を育てていたのか…」
警察官「異常者の考えることはわからないな」
すごい展開で、勢いよく読めました。
それにしても怖ろしいですね…少年はずっと騙されてて、あの家に軟禁されていたとは。
本当の両親と幸せになって欲しいです。
目まぐるしい展開で驚きばかりでした!
なるほど、本当の親ではなかった…。誘拐…、合点がいったときは気持ちよさがありました!
赤ちゃんの時から現在まで、よくぞ育てたものですね。
偽夫婦の子供に対する愛情は素晴らしい。偽夫婦が病院から赤ちゃんを拐ってきた本当の気持ちが知りたいです。