呪いなら間に合ってます

中村朔

第6話 ドS退魔師『マッド・オンセン』襲来(脚本)

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〇黒背景
  【土御門魔矢(つちみかど・まや)】
  霊力:★★★★★★(エクソシスト級)
  陰陽師一族・土御門家長女、
  特Sランク退魔師。
  温泉好き。
  呪いに一切の情け容赦がないドS退魔師。
  遭遇したら全力逃亡推奨。
  呪い界隈では『マッド・オンセン』と
  呼ばれ恐れられている。
  呪い専用情報共有SNS『呪詛ッター』より

〇学生の一人部屋
土御門魔矢「ただいまー。あーもー、つかれた!! 何が悲しくてこんな深夜に 帰ってこなきゃいけないのよ!」
土御門真守「お、おかえり」
土御門魔矢「お土産はあとで宅急便で届くから。 温泉まんじゅうと野沢菜。 あとこれ洗濯物。あとで洗っといて」
土御門真守「う、うん。姉さん、あの・・・」
土御門魔矢「んで、呪いは? もう祓った? 少なくとも祓おうと努力した?」
土御門真守「あ、いや、その・・・まだ・・・」
土御門魔矢「アンタねえ、呪いと一週間 まるまる過ごして何してたの?」
土御門魔矢「キャッキャウフフの ギャルゲ同棲ごっこしてただけ?」
土御門真守「キャッキャウフフはしてないけど・・・ あっ!」
  ポワッ
コトリ「ひひ・・・ひひひ・・・」
土御門真守「ぎゃあああぁ! 姉ちゃん! う、後ろ、な、な、生首が・・・」
土御門魔矢「生首ィ? こんなもんでビビってんじゃないわよ」
  ペシッ
コトリ「ぷぎゃっ!」
土御門魔矢「そんなことより、真守がこんなだと アタシもいつまでたっても安心して 温泉にいけねえっつー」
コトリ「こ、こやつ、 呪いをデコピンしてきおった・・・」
八尺様「選手交代ね。ぽぽぽ・・・」
  ふさぁ
土御門真守「・・・ひっ!? ぎゃあああぁ! て、天井から髪の毛がぁぁぁ!」
土御門魔矢「父さんも母さんも真守が心配で おちおち旅行にも行けないって」
土御門魔矢「とか言って海外旅行中だけど。 って鬱陶しいなこの髪!」
  グイッ
八尺様「いたた! やめて! 引っ張らないでぇ! ・・・なんでこんなラフな反応?」
コトリ「全然怖がっておらん・・・ こやつ、本当に真守の姉か?」
コトリ「こうなったら一時休戦じゃ。 いっしょに驚かせるぞ」
八尺様「ええ、このままじゃ呪いの 沽券に関わるものね!」
コトリ「ケケケケ!」
八尺様「ぽぽぽぽ!」
土御門魔矢「あーもー、まだ話の途中だっての! 臨兵闘者皆陣烈在前! 破ァ!!」
  ドゴーーーーーン!!
コトリ「ふわあああぁぁ!」
八尺様「きゃあああぁぁ!」
土御門真守「コ、コトリちゃん! 八尺様!」
八尺様「いたたた・・・」
土御門魔矢「あっけな。これがレジェンド級の呪い? 呪いの質も随分落ちたわね」
コトリ「くっ、きさま・・・」
土御門魔矢「ねえ、今日で真守を呪って7日目 なんでしょ? 呪い殺す日なんでしょ?」
土御門魔矢「殺してみなさいよ。アタシの目の前で。 さあ。ほらほら。うりうり」
コトリ「あ、あう」
土御門真守「た、焚き付けないでよ! 本当に殺されたらどうするんだよ〜!」
土御門魔矢「殺されるわけないじゃない。 こいつらには、人を呪い殺すような 力なんてないんだから」
土御門真守「・・・え?」
コトリ「う」
土御門魔矢「こいつらが力を持ってたのなんて 昔のこと。そりゃあ洒落怖全盛期はね? それなりに怖がられてたけど」
土御門魔矢「でもネットロアの宿命ね。拡散されて 消費される過程で恐怖は薄れて、 今やただのテンプレのひとつ」
土御門魔矢「恐怖がなければ呪いは存在しない。 だから今のこいつらには力がないの」
土御門真守「そ、そんなことないよ! だって僕めちゃくちゃ怖い思いしたもの!」
土御門魔矢「それは単にアンタが ビビりなだけでしょ・・・」
土御門魔矢「こいつらにできるのはせいぜい 怖がらせることだけで、物理的に どーこーできる力はないってこと」
コトリ「い、今は力がないが、いつまでも そんな状況に甘んじるわしらではない!」
八尺様「・・・そうよ! いつか再び 人間たちに私たちの恐怖を・・・」
土御門魔矢「そうね、信じて怖がる人間がいれば いつかは力を取り戻す」
土御門魔矢「信じる力こそが呪いを 呪いたらしめるんだから」
土御門魔矢「まー。そうなる前に祓うのが、 アタシたち退魔師の仕事なわけだけど」
コトリ「・・・退魔師?」
八尺様「・・・私たち?」
土御門魔矢「そ。アタシは土御門家の退魔師。 んで、真守は土御門家の次期当主」
八尺様「土御門・・・って、あの陰陽師一族の!?」
コトリ「はっ。土御門の温泉好き女・・・お前、 もしや・・・ドS退魔師として有名な 『マッド・オンセン』では!?」
土御門魔矢「その名前で呼ぶなっつー」
八尺様「マッド・オンセンと言えば エクソシスト級の退魔師・・・ヒィィ!」
コトリ「だ、だめじゃぁ〜! とてもじゃないが わしらが敵う相手ではないぞ!」
土御門魔矢「に・が・さ・な・い・ゾ★」
  ボムッ
コトリ「ひやあああっ!」
土御門魔矢「アンタたちにはまだやって もらいたいことがあるんだから、 話が終わるまでそこでじっとしてなさい」
八尺様「・・・やってもらいたいこと?」
土御門魔矢「真守。聞いたでしょ? こいつらは 脅かすことはできても殺す力はないの」
土御門魔矢「だから安心して祓いなさい。 練習だと思ってさ。そのために せっかくお膳立てしてあげたんだから」
土御門真守「・・・そのために? まさか、僕をわざと心霊スポットに 行かせて、2人を取り憑かせたの!?」
土御門魔矢「まあね。アンタみたいなビビリが来たら 喜んで取り憑くと思ったからさ」
土御門真守「どうしてそんなことするんだよ! おかげでどんなに怖い目にあったか・・・」
土御門魔矢「アンタに早く退魔師になって もらわなきゃ困るからよ」
土御門魔矢「いつまでたってもアンタがだらしないから 依頼全部こっちに回って来るし!  だからおちおち温泉行ってられないし!」
土御門真守「うっ、ご、ごめんなさい・・・」
土御門魔矢「アンタは土御門ってことで筆記試験は パスなんだから、あとは実技さえ終われば ライセンスが取れるのよ?」
コトリ「退魔師ってライセンス制なのか・・・」
土御門魔矢「ライセンスを取得するには 10退魔ポイントが必要」
土御門魔矢「レジェンド級だったら1体5ポイント だから、2体祓えばOK」

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