まだ陸は見えない

彩原こだま

エピソード1(脚本)

まだ陸は見えない

彩原こだま

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〇閑静な住宅街
海未「行ってきまーす」
牧原「おはよう。気を付けていっておいで」
海未「ありがとうございます。行ってきます!!」
海未「美空、早くー!」
美空「海未、早いよ。まだまだ時間あるよ」
海未「早く行くに越したことはないでしょ」
美空「そうだけど・・・」
海未「そういいながら、私を置いてかないでって。私より足速いんだから~」
  私たちがここに越してきて早2年。最初は父さんが亡くなって、ずっと気持ちが沈んでいた。
  けれど、おばあちゃんが私たちを励ましてくれた。
  何より、美空がいていくれたから。一人じゃなかった。
  この春から高校も同じ学校に入学した。
  私たちは双子。ずっと一緒。そう思っていた。
  あのときまでは・・・

〇学校脇の道
海未「ねえ、美空はどの部活に入るの?」
美空「海未は中学のときと同じように、吹奏楽部に入るの?」
海未「もちろん!」
美空「じゃあ、私も吹奏楽部かな」
海未「また!? 無理に一緒にしなくてもいいのに」
海未「美空、私と違って運動神経いいんだから、運動部に入ればいいのに」
美空「いいの。私がしたくてしてることだから」
海未「ならいいけど・・・。 これじゃあ、どっちがお姉ちゃんかわかんないね」
美空「双子なんだし、大して変わらないもん」
海未「やば、もうこんな時間。 早く帰らないと、テレビ始まっちゃう!」
美空「録画予約してないの?」
海未「したけど! リアタイしないと。 ほら、早く!!」
美空「あ、待って!」

〇神社の本殿
海未「この神社、突っ切っていこ! 近道だし」
美空「けど、夕方に子供だけで入らないでって、おばあちゃんが・・・」
海未「大丈夫だって。 私、この前も夕方にここを通ったけど、 なんともなかったよ」
美空「でも・・・」
海未「ほら、早く早く!」
美空「ま、待ってってば!」

〇けもの道
美空(おかしいな・・・ 走ってるのに追いつけない)
美空(それどころか、姿も見えない)
美空(私のほうが、足が速いのに)
美空「海未ー!?」
  ・・・
美空「うーみー!?」
美空「聞こえてるでしょ!? 返事して!」
美空「はぁ・・・」
美空「あ、あそこから抜けられそう」

〇古びた神社
美空「あ、あれ? さっきと同じ場所・・・」
???「こんばんは」
美空「うわ!? こ、こんばんは」
  ・・・
美空「私、急いでるんで・・・」
???「出られないよ」
美空「え!?」
???「君、兄弟は?」
美空「・・・妹が一人」
???「双子?」
美空「は、はい」
???「決まりだ。 君はここから出られない」
美空「何の話してるんですか?」
???「『夕方に二人で神社に入ってはいけない』」
???「って誰にも言われなかったの?」
美空「それは・・・」
美空「・・・言われましたけど」
???「君が・・・ いや、『君たち』が悪いよ」
???「言いつけを守らなかったから」
美空「話が見えないです! それとこれとは何の関係があるんですか?」
???「・・・ついておいで」
美空「ちょ、ちょっと!」

〇祈祷場
美空「えっと・・・」
シンイチ「シンイチ」
美空「えっ・・・?」
シンイチ「私の名前。 君は?」
美空「美空です」
シンイチ「ミソラ、君は『双子石』を知っているかい?」
美空「いえ、知らないです」
シンイチ「この神社は安産祈願のために建てられた」
シンイチ「ここの神様はあまりいい人とは言えなくてね」
シンイチ「子供のことが大好きだから、安産を助けてくれる」
シンイチ「けど、交換条件だ 子供を二人産ませてあげる代わりに、一人を連れ去る」
シンイチ「困った村の人たちは、あることを決めた」
シンイチ「村の宝物だった深紅の石を二つ捧げたんだ」
シンイチ「双子のようにそっくりな二つの石をわたし、それを愛でてもらおうってことだね」
美空「そんなことで、うまくいくんですか?」
シンイチ「一緒にこの神社も建てたんだ 実際、それ以来神隠しも減ったらしい」
美空「それと、私が双子であること、どう関係あるんですか?」
シンイチ「神隠しはなくなってないんだ 連れ去ってしまうのさ、片割れをね」
シンイチ「二人、全く同じ顔 それなら片方いなくてもいいだろうって」
美空「そんな無茶苦茶な・・・」
シンイチ「けど、事実さ」
美空「じゃあ、私はもう元の世界に戻れないってことですか?」
シンイチ「ああ このままだと、確実に」
美空「そ、そんな・・・」
シンイチ「けど、君はここから出られる」
シンイチ「・・・かもしれない」
シンイチ「この神社には不思議な点が多い」
シンイチ「可能性はある」
美空「どうすれば、いいんですか?」
シンイチ「一緒にここを探索しよう 何か見つけられるはずだ」
美空「わかりました 行きましょう」

コメント

  • なんだかとても不思議な事件に巻き込まれてしまいましたね。
    果たして美空さんはそこから出られるんでしょうか。
    最初は海未さんが連れ去られたのだと思いましたが、美空さんが閉じ込められていたとは。

  • テンポ良く非常にわかりやすかったです!
    神隠し…某ジブリ映画であったようにファンタジーに感じてしまいますが、実際なったらパニックになりそうです。

  • 突如現れたしんいち君は何者なんでしょうか? まるで美空ちゃんが来るのを待っていたかのような彼の対応にとても違和感を感じます。外に出るために助けてくれるのか、そうでないのか続きが気になります。

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