読切(脚本)
〇ネオン街
──夜の街にて・・・
千華(ちか)「今日も仕事疲れたー!」
千華(ちか)(時刻は19時過ぎ。 私には毎日のルーティンがある)
千華(ちか)(それは、ゲームセンターにいくこと! UFOキャッチャーでかわいいぬいぐるみを 眺めるのが私の癒しになっている)
千華(ちか)「さぁー! 今日も推しのゆるキャラ"ぷくぷー"のぬいぐるみを狙うぞぉー!」
〇ゲームセンター
千華(ちか)「あったあったー!今日からのプライズだ!」
千華(ちか)「どの子も可愛くて選ぶのも苦労しちゃうなぁ」
獲得おめでとうございまーす!
千華(ちか)(隣の"ぷくぷー"の台で獲れた人がいるんだ いいなぁ〜!)
千華(ちか)("ぷくぷー"仲間になれるかな? ちょっと覗いてみちゃおう!)
千華(ちか)(あれ・・・?なんだか嬉しそうじゃないな・・・)
千華(ちか)(それにあの顔・・・ どこかで見たことがある気がする)
薫(かおる)「あーー!もう!! こんなことしてたってアイツに渡せないのに」
薫(かおる)「急に引っ越した"ちかねぇ"元気かな──」
千華(ちか)「あんた、もしかして薫!?」
薫(かおる)「え!?ちかねぇ!?」
千華(ちか)「やっぱり薫だ! こんなところで出会えるなんてビックリー!」
千華(ちか)(この子は薫。昔住んでた家のお隣さんだ。 年は3歳離れていたけど昔はよく遊んでいた)
千華(ちか)(親の転勤で私が引っ越してしまって、もう会うことはないだろうと思ってたのに・・・ 偶然会えるなんてすごい!)
薫(かおる)「俺、夢でも見てるのかな・・・ こんなところで会える訳ないのに」
千華(ちか)「何言ってんのよ!本物の"ちかねぇ"よ!」
薫(かおる)「そっか、ほんとに会えたんだ・・・」
千華(ちか)「それにしても、大きくなったわねー! 昔はあんなに小さかったのに!」
薫(かおる)「いつの話してんだよ・・・ 俺、もう19歳なんだけど?」
千華(ちか)「そっか、もうそんな歳になるんだ! そりゃあ大きくなるよねぇ」
薫(かおる)「10年ぶりの再会だぜ? ねぇちゃんも、一段と可愛くなってるし」
千華(ちか)「え!?何よ、急に・・・」
薫(かおる)「・・・」
薫(かおる)「俺、ちかねぇが居なくなってからずっと寂しくてさ・・・ でも、この気持ちは遊び相手がいなくなったものかと思ってたんだ」
薫(かおる)「でも、今日ちかねぇに会って改めてわかった」
薫(かおる)「俺、ちかねぇのことがずっと好きだったんだって──」
千華(ちか)「え・・・!!」
薫(かおる)「急にこんなこと言われても驚くよな・・・」
薫(かおる)「でも、もうあの日の後悔を繰り返したくなかったから」
千華(ちか)「・・・」
薫(かおる)「すぐに返事はいらないから、少し考えてくれない? これ、俺の連絡先だから!」
薫(かおる)「とりあえず、帰ってからでいいからまた連絡してほしい」
薫(かおる)「ちかねぇからの連絡、俺待ってるから!」
千華(ちか)「あっ──」
千華(ちか)「行っちゃった・・・」
〇可愛い部屋
千華(ちか)(あの後、どうやって帰ってきたかも覚えていない・・・)
千華(ちか)(そのぐらい、今日は色んなことがありすぎた)
千華(ちか)「まさか、あの薫が私のことを好きだなんて─」
千華(ちか)「でも、驚きはしたけど嫌な気持ちにはならなかったんだよね・・・」
千華(ちか)「自分の気持ちが、分からないな──」
千華(ちか)「そうだ、さっき帰ったって連絡したんだった 返事はきてるかな?」
薫(かおる)
無事に帰れてよかった
今日は驚かせてごめん
でも、俺の気持ちは本気だから・・・
じゃあ、また明日
薫(かおる)
大好きだよ、千華
千華(ちか)「──!!」
千華(ちか)(こんなの、反則だって・・・)
千華(ちか)「これは、完敗だなぁ」
千華(ちか)(というか、最初から答えはもう出てたよね)
千華(ちか)「だって、薫と会えたあの瞬間からずっと・・・ 心臓の音がうるさいんだもの」
千華(ちか)
勇気を出してくれてありがとう。
おかげで、自分の気持ちを知ることができました。
千華(ちか)
私も、薫のことが好きです。
悩む時間が短かったけど、思い返せば昔から
私は薫に好意を抱いていたのかも
千華(ちか)
明日、直接お話ししましょう。
じゃあ、今日はこの辺りで
おやすみ、薫!!
〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
薫(かおる)「──っ、しゃぁ!!」
その夜、ひとりの青年が歓喜のあまり叫び
近隣住民に怪訝な顔を向けられたのでした─
薫(かおる)「もう絶対、離さないから──」
近隣住民に聞こえるくらいの歓声、とっても嬉しかったんでしょうね。好きな人を想ってUFOキャッチャーで景品をとるっていう行動も、年下の彼の健気な素直さがよくあらわれていてキュンときました。
2人とも美男美女に成長したんだろうなあと想像しました。9歳からの10年間でぐっと男らしくなった薫君にときめいたチカさんのドキドキがとてもよく伝わってきました。
彼の強引なところすごくかわいいです!
こんな風にぐいぐいきてくれたら嬉しいですよね!
その場で告白して後で…っていうシチュエーションにもキュンキュンしました。