こわがり彼氏のハッピー・ホラー・ショー2

にゃぴょう

こわがり彼氏のハッピー・ホラー・ショー2(脚本)

こわがり彼氏のハッピー・ホラー・ショー2

にゃぴょう

今すぐ読む

こわがり彼氏のハッピー・ホラー・ショー2
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇映画館の入場口
  都内某所 映画館前
エリ「ハルキ、遅いなぁ・・・」
エリ「もしもし、ハルキ!?」
ハルキ「あ、もしもし?」
エリ「あ、もしもし?じゃないよ! もう映画始まっちゃうよ!?」
ハルキ「ごめんごめん、急に仕事が入っちゃって」
エリ「またー!?」
ハルキ「終わり次第向かいますので・・・ 本当に申し訳ございません」
エリ「白々しく敬語使っちゃって! 一人で見てろっていうわけ!?」
エリ「だってこの映画は・・・」
ハルキ「・・・わかってるよ」
ハルキ「とにかく、すぐに行くからさ! 先に行ってて!」
ハルキ「あ、」
ハルキ「ポップコーンLサイズ買っといてね!!」
エリ「ちょっと待っ・・・」
エリ(はぁ・・・)

〇荒廃したセンター街
  あの恐怖から3年────
  人喰いエイリアン、ハッピーちゃんが
  再び襲来!!
  SFホラー超大作、待望の第2弾!!
  『ハッピー・ホラー・ショー2』

〇映画館の入場口
エリ「私たちの、思い出の映画だと思ってたのに・・・」
エリ「もういいや、帰ろ帰ろ!」
エリ「ハルキなんて、ハッピーちゃんに食べられてしまえ!」
ハッピーちゃん「ハーピー!!」
エリ「ひゃあああ!!」
エリ「ハ、ハッピーちゃん!?」
ハッピーちゃん「ハーピーハーピー」
エリ「すいません食べないで下さいすいません!!」
ハッピーちゃん「ハーピーハーピー」
エリ(ハッピーちゃん、何か言いたそうにしてる・・・?)
ハッピーちゃん「ハーピーハーピー」
エリ「ついてこいってこと?」
ハッピーちゃん「ハーピピピー!」
エリ「わ、わかったよハッピーちゃん・・・」

〇映画館のロビー
エリ(帰るつもりだったのにな・・・)
エリ(ハッピーちゃん、そんなに自分の新作を見て欲しいのかな)
ハッピーちゃん「ハーピーハーピー」
エリ「ん?ハッピーちゃんどうしたの?」
ハッピーちゃん「ハーピーハーピー」
エリ「あ、ポップコーン!」
エリ「ハルキに頼まれてたっけ」
ハッピーちゃん「ハーピピピー!」
エリ「ハッピーちゃんも、ポップコーン好きなの?」
ハッピーちゃん「ハーピピピー!」
エリ(なんか、可愛く見えてきたかも・・・)
エリ(私、どうかしてるな)

〇映画館の座席
エリ(あれ?誰もいない)
エリ(もう始まる時間なのに・・・)
エリ「もしかして・・・」
エリ「人気のないところで、私を食べようと!?」
ハッピーちゃん「ハーピー!!」
エリ「ハルキ!!」
ハルキ「ふぅ〜、暑かった〜」
エリ「ふぅ〜、暑かった〜じゃないよ!! なんでハッピーちゃんの着ぐるみ着てるの!?」
エリ「仕事は? もしかしてこれがハルキの仕事なの!?」
ハルキ「違う違う」
ハルキ「今日は、エリに伝えたいことがあって」
ハルキ「映画館、貸し切っちゃった」
エリ「え!?」
ハルキ「手紙、書いてきたんだ」
ハルキ「・・・読んでもいい?」
エリ「なんか、スクリーンの前にマイクが用意されてるんですけど・・・」
エリ(これって、もしかして・・・)

〇ソーダ
ハルキ「こうして改まって話すとなると、緊張するなあ」
ハルキ「ゴホン・・・」
ハルキ「ちょうど3年前」
ハルキ「この映画館で、一緒に『ハッピー・ホラー・ショー』を見たの覚えてる?」
ハルキ「一緒に、っていっても」
ハルキ「あのときの俺たちは、まだ他人同士だったな」
ハルキ「俺、ホラー映画を見に行ったのは人生であの日が初めてで」
ハルキ「というか、一人で映画を見に行ったのも初めてで」
ハルキ「知っての通り、俺、怖いの苦手だからさ」
ハルキ「案の定怖くて怖くて・・・」
ハルキ「ハッピーちゃんの登場シーンで、 隣に座ってる人にすがりついちゃった」
ハルキ「それがエリでした」
ハルキ「あのときの、なんなんだよコイツっていう冷ややかな目が、今でも忘れられません」
ハルキ「そのあとも、怖すぎて全然スクリーンの方を見れなくて」
ハルキ「こっそり、隣に座ってるエリのことを見てた」
ハルキ「ハッピーちゃんが人間をモグモグしてる スプラッターなシーンを見ながら」
ハルキ「ケラケラ笑って ポップコーンをモリモリ食べていたよね」
ハルキ「そんなエリを見て、 ちょっと狂気を感じながらも」
ハルキ「同時に、なんだか元気をもらいました」
ハルキ「あの頃、俺は就職活動中で」
ハルキ「落ちてばっかりで全然就職先が決まらなくて」
ハルキ「特にあの日は、第一志望だった会社に落ちてしまって、すごく落ち込んでた」
ハルキ「気分をなんとか変えたくて」
ハルキ「いつもと違うことをしようと思って、 目の前にあった映画館に駆け込んだんだ」
ハルキ「そしたら、エリに会えた」
ハルキ「映画が終わって、 思い切って声をかけた」
ハルキ「腕を掴んじゃったおわびに、とか下手な口実をつけて、ご飯に誘ったんだよな」
ハルキ「なんなんだよコイツって顔しながらも、 承諾してくれてありがとう」
ハルキ「あれから3年」
ハルキ「エリのおかげで、楽しくやってこれた」
ハルキ「悩んだり落ち込んだりしたときも」
ハルキ「エリがいつも明るく笑い飛ばしてくれるから」
ハルキ「・・・」
ハルキ「エリの笑顔なしで生きていくなんて、考えられない」
ハルキ「エリ・・・」
ハルキ「俺と、結婚してください」
ハルキ「ずっと俺の隣で、笑っていてほしい」

〇映画館の座席
エリ「ハルキ・・・」
エリ「って、最近ハルキには怒らされてばっかりだったけどね」
ハルキ「それはごめんって」
ハルキ「結婚資金貯めるためにも、 仕事がんばってたんだよ」
エリ「冗談だよ!」
エリ「ありがとう・・・」
ハルキ「・・・もしオッケーだったら、薬指を出してよ」
エリ「え?こ・・・こう?」
ハルキ「それ、別の指!」
エリ「あ、間違えた」
ハルキ「そうそう・・・」
ハルキ「届かないよ、もっと近くに」
ハルキ「もっと」
ハルキ「もっと」
ハルキ「エリ・・・」
ハルキ「これからも、よろしくな」
エリ「うん・・・」
ハルキ「よし、じゃあ映画見るか!」
エリ「あ、映画のこと忘れてた!」
エリ「ちょっと、何手にぎってんのよ」
ハルキ「エリがこわくないように〜」
エリ「こわがりなのはハルキの方でしょ〜」
ハルキ「大丈夫、俺とハッピーちゃんはもはや一心同体だから!」
ハルキ「ほら、始まるよ!」

〇荒廃したセンター街
「ハーピー!!!」

〇映画館の座席
ハルキ「ひいいぃ!!」
エリ「ちょっと、いきなり抱きつかないでよ!」
エリ「ポップコーンこぼれちゃってるし!」
ハルキ「ううぅ・・・だって怖いんだもん・・・」
エリ(そんなとこも好きだよ)
ハルキ「なんか言ったぁ・・・?」
エリ「何も?」
ハルキ「そう・・・?」

〇荒廃したセンター街
「ハーピー!!!」

〇映画館の座席
ハルキ「ぎゃあああ!!」
  おしまい❤︎

コメント

  • 思い出の場所、今でも自分も覚えています。
    でも中々こんなことをしようとは思うに至りませんが、思い出を大事にする心はとても素敵ですよね。

  • ハッピーちゃん現る!と思いきやまさかの中身でしたか(笑)
    ハッピーちゃんの伝えたいことが何となくわかってしまったエリにハルキへの愛を感じちゃいました。ハッピーちゃんが可愛く見えたのは、ハルキだったからなのかなぁ、と。
    一生懸命頑張るハルキに好感が持てました。こんなプロポーズ、二人らしくて素敵ですね✨

  • カップルにとって初めて出会った場所やその時のシチュエーションって大事なものですよね。まさにそこを大事にしながら、思いったけの気持ちでプロポーズした彼がとても素敵です。お互いに無いものを求めあってとてもバランスのいいカップルだなあと思いました。

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ