エピソード1(脚本)
〇玄関内
母親「私は今から買い物行くけども、 二人で変な勉強するんじゃないよ! じゃあね!」
〇女の子の一人部屋
菜緒「何、変な勉強って言い方キモっ。 普通に涼真と期末への勉強するだけだし」
涼真「・・・・・・」
菜緒「嫌な空気流れちゃったじゃ・・・」
涼真「ぷぷっ!」
菜緒「!」
涼真「菜緒のお母さんって面白いな。 ゴメン、つい吹き出しちゃって」
菜緒「いやいや別に! お母さんがアホなだけだから!」
菜緒「嫌な空気になってなくて 良かったぁ」
涼真「それに」
菜緒「?」
涼真「菜緒とは勉強じゃなくて、 常に本番だからね」
菜緒「本番って!」
涼真「いや変な意味じゃなくて」
菜緒「本番の変な意味とか知らないよ! もう!」
涼真「そんなに怒るということは 知ってるんじゃないか?」
菜緒「知らない! 知らない!」
涼真「知らないなら勉強するしかないか」
菜緒「いや! 勉強なんてないんでしょ! 全部本番なんでしょ! 涼真は!」
涼真「俺は常に本番で、 菜緒が勉強するんだろう?」
菜緒「私だって全部本番なんだから!」
涼真「じゃあ俺はイケメンを演じないとな」
菜緒「何それ、これドラマなの?」
涼真「ドラマだよ、 とびっきりのコメディ」
菜緒「コメディなのっ? 恋愛であれよ! とびっきりの後の言葉は恋愛であれよ!」
涼真「とびっきりという言葉のあとは、 大体コメディだろ」
菜緒「私の人生ってコミカルなのっ?」
涼真「お母さん面白いじゃん」
菜緒「お母さん中心のコミカルは嫌だ!」
涼真「菜緒だって面白いよ、 自信を持って!」
菜緒「面白いって言われて嬉しくないわ!」
涼真「じゃあ」
涼真「可愛い」
菜緒「ちょっ、 急にそんなこと言わないでよ」
涼真「とびっきり可愛い」
菜緒「とびっきりのあとはコメディじゃないの?」
涼真「コメディドラマも 大体美女が演じるでしょ。 菜緒はとびっきり可愛い主人公」
菜緒「そんなことないけどなぁ」
涼真「ゴメン、」
涼真「俺事実しか言えないから」
菜緒「そんな真顔で言わないでよ」
涼真「菜緒ほど可愛い子はいないよ。 性格だってそうだ」
菜緒「ちょっと、私のことどうしたいの?」
涼真「ずっと一緒に居たい」
菜緒「そんな、そんなことより! 勉強! 勉強!」
涼真「ううん、いつだって本番だ。 菜緒が傍にいるだけで、画面は華やかだ」
菜緒「普通だって、普通」
涼真「華のように美しく、雰囲気も爽やか。 香りがどうこう言ったら キモイから言わないけど」
菜緒「別にキモくないし。 良いシャンプー使ってるし」
涼真「香りはシャンプー」
菜緒「香りはシャンプーじゃないよ! ここで急にコメディしないでよ!」
涼真「雰囲気もシャンプーなのか?」
菜緒「雰囲気がシャンプーって何! 私はシャンプーに依存してないよ!」
涼真「じゃあ俺に依存してよ、 一生楽しませるよ」
菜緒「依存は、ほら、良くないよ。 依存って良くない言葉じゃん」
涼真「依存と一緒は紙一重だね。 対等に認め合うことが一緒かも」
菜緒「急にどうした! コメディでいけよ! 哲学ドラマになるなよ!」
涼真「菜緒、好きだ。 一緒にどこへでも行きたい」
菜緒「何それ、どこへでもってどこ」
涼真「とりあえずは同じ大学かな。 というわけで勉強しようか」
菜緒「教会とか言えよ! 急に素に戻るなよ!」
涼真「あと俺はサッカースタジアムかな」
菜緒「急にどうしたんだよ! 恋人同士だと割引プランがあるのかよ!」
涼真「いやサッカースタジアムで 挙式するプランもあるから」
菜緒「詳しいな! やけに!」
涼真「いろいろ調べているからね、 菜緒をいっぱい楽しませたいから」
菜緒「いや調べてるって勉強してるじゃん。 全部本番じゃないの?」
涼真「そりゃ一緒にいない時は勉強してるよ。 めっちゃ文字を書いてるよ」
菜緒「私って漢字なのっ?」
涼真「柔らかく丸みを帯びたひらがなかな」
菜緒「太ってないし」
涼真「印象が、だよ。 まあどんな姿だとしても好きだけどね」
菜緒「でもドラマの主演は、 美女がやるものなんでしょ?」
涼真「最近は美女の魂が おじさんに入るヤツもあるし」
菜緒「さすがに、おじさんにはなんないわ。 太る程度で済むわ」
涼真「おじさんになっても一緒だよ」
菜緒「おじさんにはならないんだよ。 甘くないんだよ、その台詞は」
涼真「あれ? おじさんになった?」
菜緒「何だよ、その雑なイジリ。 なってないから」
涼真「二日酔い?」
菜緒「そんなことないわ」
涼真「でも俺が近付く度に 結構赤くなってるけど」
菜緒「それは涼真が近付くからだろ!」
涼真「ドキドキするのか?」
菜緒「ハッキリ言葉にするな!」
涼真「俺もドキドキするよ、好きだから」
菜緒「何それ! 私だって好きだからな!」
涼真「じゃあ、いい、よな?」
菜緒「いいって、なに ・・・ちょっと・・・近いって!」
涼真「菜緒、」
涼真「ここの記述、間違えてる」
菜緒「いやキスしないんかい!」
楽しい2人でした。けっこうすごい言葉も平気で出てきてたし、ラストもギャグで終わるし楽しかったです。
お母さんの登場から、笑ってしまいました。夫婦漫才のような二人の軽妙な掛け合いにテンポよく読むことが出来ました!素敵な物語ありがとうございました!
お二人の掛け合いが好きで、始終ほっこりしながら読ませていただきました!