〇大企業のオフィスビル

〇ダブルベッドの部屋
財前麗子「フフフ。すべては順調」
ビーモン「ベーザイ様」
財前麗子「ビーモンか。何用だ。 手出しは無用と命じたはずだが？」
ビーモン「なぜ黒岩優斗を始末してしまわないのですか」
財前麗子「彼にはお前たちと同じ、悪魔の血が流れている」
ビーモン「!」
財前麗子「黒岩優斗は新たな悪神となるのだ」
ビーモン「・・・しかし奴は、我々の敵」
財前麗子「覚えているか。ただの人間だったお前が、私によって悪神となった時のことを」

〇謎の部屋の扉
大門トウヤ「貴様・・・何者だ」
ベーザイ「お前たちの主人だ。悪魔の血を宿す者よ。・・・目覚めるがいい。悪神の力に」
　　ベーザイはダイキに向かって、邪悪なオーラを発射した。
大門ダイキ「うわぁっ」
大門トウヤ「ダイキ！」
大門トウヤ「ぐおぉおおっ」
大門ダイキ「兄さん！」
大門ダイキ「に・・・兄さん・・・？」
ベーザイ「気分はどうだ、悪神ビーモンよ」
ビーモン「・・・最高の気分です」

〇ダブルベッドの部屋
ビーモン「俺の中の愛や正義に囚われる脆弱な人間性は消え去り、すべてを悪に染めることが宿命であると悟りました」
財前麗子「悪神になるとは、そういうことだ」
財前麗子「そして彼には強力な悪魔の血の力を感じる。最も邪悪な、最強の悪神となるだろう」
ビーモン「あの男が!?」
財前麗子「不満か？ ビーモン」
ビーモン「・・・・・・」
財前麗子「すべては、黒岩優斗を悪神に目覚めさせる布石だ」

〇森の中のオフィス
　　～３日後～

〇大会議室
朝陽林檎「あの、優斗さん」
黒岩優斗「どうした、林檎？」
朝陽林檎「特に用はないんだけど・・・元気かなって」
黒岩優斗「ははは。なんだよ、それ」
朝陽林檎「はは・・・なんなんだろうね」
財前麗子「優斗くん」
朝陽林檎（優斗くん・・・？）
財前麗子「少しいいかしら」
黒岩優斗「あ、はい！ 麗子さん」
朝陽林檎（麗子さん!?）
朝陽林檎「・・・・・・」

〇大会議室
財前麗子「紹介するわ。 こちらFRENZYの大門トウヤ」
黒岩優斗「よろしくお願いします。 四葉トラベルの黒岩優斗です」
　　優斗が握手しようと差し出した手を、トウヤは強く払った。
大門トウヤ「浮かれるな」
黒岩優斗「・・・どういう意味ですか」
大門トウヤ「そのままの意味だ。麗子様はこんな男のどこを気に入ったのか」
財前麗子「トウヤ、やめなさい」
大門トウヤ「・・・・・・」
財前麗子「そろそろライブのリハーサルでしょ。 会場に戻っていなさい」
大門トウヤ「・・・はい」
財前麗子「ごめんなさいね。優斗くん」
黒岩優斗「いいえ、気にしていませんよ。 何か怒らせてしまいましたかね」
財前麗子「FRENZYに貴方を誘っているって話したらあの調子なのよ」
黒岩優斗「・・・麗子さん、そのFRENZYの件なのですが」
財前麗子「優斗くん。今回の働きは見事だわ。 やはり私のところに来るべきよ」
黒岩優斗「・・・・・・」
財前麗子「貴方はもっと素晴らしい存在になれる。 自分の可能性を知りたくはない？」

〇オフィスの廊下
黒岩優斗「林檎！ やっとみつけた」
朝陽林檎「優斗さん！」
黒岩優斗「さっき、ちゃんと話聞いてやれなくてごめんな」
朝陽林檎「こっちこそ、ごめんね。忙しいのに」
黒岩優斗「今度、埋め合わせするな」
朝陽林檎「私、パンケーキがいい！ 駅前に５段重ねのパンケーキ屋さんができたんだよ」
財前麗子「優斗くん、何してるの。 みんな貴方が来るの待ってるわよ」
黒岩優斗「すみません、麗子さん」
財前麗子「仕事をおろそかにして、こんなところで・・・」
財前麗子「少しプロ意識が足りないのではなくて？ 早く行きなさい」
黒岩優斗「・・・はいっ。ごめん、行ってくる」
朝陽林檎「うん・・・」
財前麗子「・・・この際だから、はっきり言っておくわね」
財前麗子「貴女、優斗くんと別れなさい」
朝陽林檎「!? な、なんでですか」
財前麗子「彼はFRENZYになるわ。そしてそれは、誰のモノにもならないということ」
財前麗子「そんな人を独占しようなんて、図々しい」
朝陽林檎「でも、優斗さんと私は──」
財前麗子「わからない？ 貴女、彼の夢の邪魔になっているのよ」
朝陽林檎「え・・・そんな」
財前麗子「今の彼は、あなたのせいで仕事に集中できていない」
朝陽林檎「!」
財前麗子「わかったなら、彼に近付かないで。 もう二度と。いいわね」
朝陽林檎「・・・・・・」

〇教会の中