魔王様は相談したい

もち雪

『魔王からの相談と気になる彼女』(脚本)

魔王様は相談したい

もち雪

今すぐ読む

魔王様は相談したい
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇本棚のある部屋
  ある朝、自宅で眠る青年のもとに魔王は訪れました。
ヤーグ「勇者よ!目を覚ますのだ!!」
草薙ハヤト「・・・」
ヤーグ「ぐぬぬ!」
ヤーグ「起きよ勇者よ! 勇者ハヤトよ!」
草薙ハヤト「・・・・・・」
ヤーグ「ってまた寝るな!?」
草薙ハヤト「なんで、コスプレイヤーがうちに!?」
草薙ハヤト「出て行って下さい! うちは美少女コスプレイヤーしかお断りなんですよ!!」
ヤーグ「わかった・・・」
草薙ハヤト「わかったのなら帰って下さい」
  枝はハヤトの体に巻きつき、彼をがんじがらにしめあげていきます
草薙ハヤト「ぐわぁ・・・・・・枝で、身体の身動きができない・・・・・・」
草薙ハヤト(これは魔法!? コスプレヤーじゃない? でも・・・・・・)
草薙ハヤト「わかってくれたんじゃないんですか?・・・・・・」
ヤーグ「とりあえず、お前みたいな人間には実力行使しかないと言う事がわかった」
草薙ハヤト(お前みたいな人間って・・・・・・)
ヤーグ「我は魔王ヤーグ、勇者よ 折り入って相談に来た」
草薙ハヤト「はぁ・・・・・・」
  そう言うと、魔王はギロッっ僕を
  ひと睨みした。
  さすが魔王と言うだけ眼光は鋭い・・・・・・
  しかし納得の出来ない僕は、魔王に言い返した。
草薙ハヤト「魔王が、勇者に相談をしに来ないで下さいよ そもそも僕は、本当に勇者なんですか?」
草薙ハヤト「間違いじゃないですか?」
草薙ハヤト「今すぐ帰って下さい!!」
ヤーグ「・・・・・・」
草薙ハヤト(え? 笑った?)
  枝はふたたび、ハヤトの体を締め付け始めた。
草薙ハヤト「痛い! 痛いって!」
ヤーグ「話を聞く気になったかな?」
ヤーグ「まぁ今の状態なら聞く事しか出来ないだろう?」
ヤーグ「実は・・・・・・部下について悩んでおる」
草薙ハヤト(部下の相談を何で僕に・・・・・・)
ヤーグ「部下はとても有能であるが、まだ若く 人間界で言うところの、ジェネレションギャップを感じるのだ・・・・・・」
草薙ハヤト「なるほど・・・・・・」
ヤーグ「最近では、人間界を手に入れる事まで反対してきて・・・・・・最近の若い魔族は何を考えているのか・・・・・・」
  そう言うと魔王は深いため息をつき、それとともにハヤトの体を拘束していた枝の力は弱まった。
草薙ハヤト「まず幾つか質問していいですか?」
ヤーグ「質問を認めよう」
草薙ハヤト「そうですね・・・」
  そう言うとハヤトは考えている素ぶりをし静かに目を閉じた。
  魔王はそれを黙って見つめていた。
  しばしの時間が流れた・・・・・・
  考えをまとめ目を開けると、まだ魔王は彼を静かに見つめていた
草薙ハヤト「一つ 僕は勇者なのですか?」
草薙ハヤト「二つ 僕が勇者だとして何故、僕に相談を?」
草薙ハヤト「三つ 人間界はこの世界ですか?」
草薙ハヤト「四つ 魔族は何故、人間界を手に入れようとしてるのですか?」
  魔王は静かにハヤトの話を聞き静かに話始めた。
ヤーグ「一つ目、三つ目の問いだが、お前は異世界で勇者になる」
ヤーグ「お前が勇者に何故なるか、我が何故それを知っているかについては・・・・・・」
ヤーグ「変わらぬ未来の意味や宿敵の能力を問うの無意味だと知れ」
草薙ハヤト(そこまで聞いてないですが・・・)
ヤーグ「魔物のは種族毎に完結している。 魔王はそれをまとめる者であり、人間界征服なり、滅ぼす者のみが魔物をまとめ魔王となる」
ヤーグ「そんな魔王を勇者が対話で止めるチャンスがあれば、勇者は必ずその対話に答えるものであろう?」
草薙ハヤト(この魔王・・・勇者の解釈が深すぎて、勇者推しだったのが、反転アンチした疑惑まであるな・・・)
  魔王は、全てを答え終えると、にやりと笑った。
草薙ハヤト(なんか勇者と言う、言わばライバル会社に部下の愚痴を言いに来た駄目上司にはとても見えないなぁ・・・・・・)
草薙ハヤト「わかりました・・・・・・」
草薙ハヤト(では、帰って下さい!)
草薙ハヤト(って言うとまたこの枝が締め付けてくるんだろうな・・・)
草薙ハヤト「とりあえず部下の方の人となりがわからないとなんとも助言のしようもないのですが」
ヤーグ「わかった。 部下の今の姿だけでも見せよう」
  そう言うと魔王は呪文を唱え始める。
  魔法の光は少しずつ画面となり、
  一人の人物を映しだす。

〇洋館の玄関ホール
フィーナ「・・・」
  魔王城らしき場所に女の子がいる。
  彼女は、手に持った書類について考えている様だ。
  彼女は突然、驚きの表情をし画面に近づく・・・・・・
  彼女が、画面に手をかざすと、最初に少しのノイズが走った。

〇本棚のある部屋
  画面の歪みの中から、彼女はその姿を現した。!!
フィーナ「魔王様!? それにここは?」
ヤーグ「フィーナ!? こっこれは・・・」
草薙ハヤト(部下さん・・・貴方を覗き見してました・・・)
ヤーグ「そう・・・偵察なのだ・・・ お前が言う様に、人類と共存出来るかどうか・・・」
ヤーグ「可能性を探る為に、異世界をも観察していたのだ・・・」
フィーナ「でも、なら何故、私の事を覗き見していたのですか?」
  少しの沈黙の後、魔王が僕を見た。
  何かを促す様に・・・
草薙ハヤト「魔族とか魔界とか信じられないのでいろいろ見せてもらってました・・・」
フィーナ「そうだったのですね」
草薙ハヤト「はい・・・・・・そうです」
  魔王がニャリと笑う。
草薙ハヤト(魔王め、人の気も知らないで・・・・・・)
  その時、彼女は初めて僕をまじまじと見た。
  彼女の可愛いらしい顔がピンク色に染まっていく・・・
  僕も同じ様に顔をピンク色に染めているのだろうか?
  顔が熱い・・・
  視線は彼女から離す事が出来ない。
ヤーグ「なんだ!?」
フィーナ「いえ!?何でもありません!」
  そう言うと初めて彼女は視線を外す。
ヤーグ「そうか?」
  そう言いながら僕と彼女を交互に見つめる・・・
  疑り深い魔王だ・・・
フィーナ「それで魔王様、観察してみてどうですか?」
ヤーグ「まだわからぬ」
フィーナ「魔王様、私が言い出した事ですので、 私が魔王様に納得しただける提案をこの異世界で探しだしてみせます!」
フィーナ「このフィーナにお任せ下さい」
ヤーグ「駄目だ!なんか駄目だ!」
フィーナ「そんな・・・ でも、仕方ありません・・・」
フィーナ「今後、魔王様に信頼していただく為によりいっそう努力致します」
  彼女はその綺麗な瞳に涙をためている・・・
ヤーグ「では、今日はこれくらいで帰るとしょう」
ヤーグ「また来る ハヤトよ」
草薙ハヤト「はい」
草薙ハヤト(もう来ないで下さい)
フィーナ「さよなら 人間よ」
草薙ハヤト「・・・」
草薙ハヤト「さよなら」
  二人が帰った、僕の部屋がいつもより広く感じる・・・
  そしてその時、僕の机の上に見知らぬ手紙を見つけた!!
草薙ハヤト(もしかして・・・)
  僕は胸が高鳴り、そんな気持ちをしずめるにゆっくりと手紙を開ける
  花びらの舞う中から彼女が再び現れた。
フィーナ「ハヤト様」
フィーナ「この花を受け取って下さいますか?」
  彼女の両手のてのひらの上に乗るピンクの花々を差し出す。
草薙ハヤト「はい・・・・・・」
フィーナ「あっありがとうございます」
フィーナ「絶対にまた来ます! それまで待っていてください」
草薙ハヤト「はい! 僕が本当に勇者ならば、君が来るより先に君に会いに行きますね」
フィーナ「私はフィーナです!  絶対! 絶対! 会いましょうね!!」
フィーナ「またね」
草薙ハヤト「またね・・・・・・」
  手のひらに目をやると、花は僕の手のひらに溶ける様に消えていった・・・
  これが僕の『異界転生前日談』
  しかし僕がフィーナに会う為の前日談は、まだまだ続く僕は事を知るよしもなかった。

次のエピソード:『魔王の再来』魔王様がまた、やって来ました。

成分キーワード

ページTOPへ