事故物件サバイブ ~心霊現象総スルーな兄が最強すぎる、致死率150%呪いのロンダリング・バイト~

資源三世

4月27日 霊能力者(脚本)

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〇中規模マンション
  私が事故物件に住んでいることを知ると、興味本位に話してくる人がいます
  梓が睨みを効かせるので、大抵はすぐに退散しますが、中には引き下がらない人もいます
霊能力者「幽霊なんてね、私が近寄るだけで逃げちゃうから。あんなの怖くもなんともないよ」
霊能力者「霊能力ありますーなんてのは、大抵偽物か、大して力なくてさ。まあ私と会って逃げ出したら、まあ分かる人?くらいな」
  彼女は自信満々に、自身の霊能力をかたります
妹「うん、すごくどうでもいい」
霊能力者「信じてないな。力の差を分かる人なら、裸足で逃げちゃうとこだよ」
  彼女は友人の友人の自称霊能力者。友人は私が事故物件に住んでいることを心配して相談してくれたそうです
妹「一応、その筋では有名って聞いたけど」
霊能力者「ここらの心霊スポットは制覇したよ。大したこと無かったけど。これ、投稿した動画ね」
  そこにはいくつもの心霊スポットの名前が入ったタイトルが並んでいました。投稿数もさる事ながら、視聴数も凄い
妹「盾とか貰ってる系?」
霊能力者「持ってる系」
妹「マジかー」
妹(もしかしたら、本当に解決できるかも)
  真っ暗闇のトンネルで一筋の光明が差し込んできたかのような、淡い期待が浮かびます
霊能力者「じゃあ、サクサク見て回ろうか」

〇マンションの共用廊下
  私は玄関から一つ一つ案内してゆきます。異変のあった部屋だけでいいのですが、大抵、何かあるので、こうなりました

〇玄関内
  玄関──

〇高層マンションの一室
  リビング──

〇おしゃれなキッチン
  魔窟のキッチン──

〇清潔な浴室
  お風呂場──

〇女性の部屋
  私の部屋──
妹(人形がない? お化けが逃げ出すって本当なんだ)

〇部屋の前
  兄の部屋の前──
霊能力者「待って! ここはヤバイ! もう無理」
霊能力者「排水溝に、換気扇、壁の中に、天井裏。入り切らなくて弱いのが窓の外に溢れてるけど、そんなのの比じゃない」
妹「本当に見えてるんだ」
霊能力者「なにこれ。こんな部屋で生活できるなんて普通じゃない」
妹「やっぱり」
  遂に兄の異常さが証明されました
妹「どうにか出来そう?」
霊能力者「無理」
  即答でした
  彼女は家に来た時の明るさは影を潜め、青ざめた顔で身を縮こませてます。さながら猫を警戒して身動きの取れなくなったネズミです
霊能力者「こんなところ早く出ていった方がいいけど」
妹「それは・・・」
霊能力者「出来ないよね。なんか契約みたいなもので繋がってるもの。きっと出ていくほうが危ない」
妹(全部、分かってる? 胡散臭かったけど、本物なんだ)
霊能力者「一緒に写真撮っておこうか。写真でも私の力は伝わるから、お守りになるよ」
妹「ありがと」
  二人並んで笑顔の写真を撮りますが、彼女の顔にはここに来た時の覇気はありませんでした

〇中規模マンション
霊能力者「じゃあ、またね」
  とぼとぼと帰る彼女を見送ってから、家に戻ろうとすると
  息を切らしてこちらへ走る、見覚えのある影が見えました
妹「梓? それに霊能者さんも」
妹「どうしたの、忘れ物でもした?」
梓「遅刻に電車の遅延が重なって、今来たばかりだけど?」
妹「え? だって、さっきまでその子と一緒にいて」
梓「私達、ずっと一緒にいたけど」
妹「で、でも! 一緒に写真も撮ったし」
霊能力者「それ見せて貰っていい?」
妹「これ、だけど」
  霊能力者の彼女に、写真を見せると、見る間に真っ青になってしまいました
霊能力者「すぐ消した方がいい。お願い消して!」
  その尋常じゃない剣幕に、ただごとではないことを悟り、言われた通りにします
霊能力者「ここまで来たけど。ゴメン、ちょっと手に負えそうにない」
  彼女は来た道を一人戻ってゆきました。頑なにマンションへ目を向けようとせずに

〇空
  それ以来、彼女は霊能力があるとは言わなくなったそうです
  彼女はあの写真に、何を視たのでしょうか?

次のエピソード:4月28日 パッチワーク #シナリオ

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