蚕のおねえさんとドレスをつくろう

バニバニ王子

読切(脚本)

蚕のおねえさんとドレスをつくろう

バニバニ王子

今すぐ読む

蚕のおねえさんとドレスをつくろう
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇貴族の応接間
ソワ「君がラエティティアだね エミリーから聞いているよ」
ラエティティア「だっ 誰・・・ あなたは伯母さんのなんなの・・・」
ラエティティア「こんな格好しているのを誰かに見られるなんて・・・素敵なドレスだけどはずかしい・・・」
ソワ「私はソワ 人の身を得た蚕 エミリーとたくさんの美しいドレスを作っていたよ」
ソワ「今、君が着ているのはエミリーの遺作のドレスだよ」
ソワ「彼女を慕う君のために、作っていたんだ」
ソワ「いずれ、エミリーの仕事を継いでくれるだろうと希望もこめて・・・」
ラエティティア「・・・!!」

〇立派な洋館
  私の姪 ラエティティアに全財産を譲渡します
ラエティティア「すごい遺言状だ・・・」
  私の伯母 エミリーさんは美しいシルクのドレスを作る人
  きれいな服がすきな私はいつかエミリーさんみたいなデザイナーになってみたいと思っていた
  アトリエの鍵はあなたのために開けています
  この遺言状と共に贈ったドレスを着てから入ってくださいね
  アトリエでは私たちの作品しか纏わないようにしています
ラエティティア「私『たち』・・・?」
ラエティティア「エミリーさんは一人暮らしだったよね お弟子さんがいると聞いたこともない・・・」

〇貴族の応接間
ソワ「どこにも切れ目のない彼女の美しいドレスがどのように作られているか知っているかい?」
ラエティティア「いいえ・・・ 知りたいけど 聞いてはいけない気がして」
ソワ「そう・・・ じゃあ作ってみようか ドレスのデザインを想像してみて」
ラエティティア(・・・)
ラエティティア「きゃあっ」
  床に広がっている繭の糸が私の身体にからみついてくる
  咄嗟に想像をやめて繭の糸を払う
ラエティティア「・・・・・・」
ソワ「素敵なデザインだったのに やめてしまってよかったの?」
ラエティティア「こんなの おかしくなってしまう・・・」
ソワ「君は自分の官能を楽しんでいいんだよ」
ラエティティア「えっ・・・」
ソワ「エミリーのドレスを着ると 自分を抱きしめたくなるような 美しい気持ちになるだろう?」
ラエティティア「ええ・・・」
ソワ「ちょっとずつでいいから 感覚に浸ってごらん」
ラエティティア「はずかしい・・・」
ソワ「大丈夫だよ おいで」
ソワ「ほら 私の膝の上に」
ラエティティア(いいのかな・・・?)
ソワ「私は抱っこがすきだよ ラエティティアは?」
ラエティティア「すき 安心するから」
ソワ「いいね」
  ソワの指が背中をつたう
  額にキスが落ちる
ラエティティア「っ」
ソワ「いやだった?」
ラエティティア「エミリーさんともこういうことを・・・?」
ソワ「妬いてる?」
ラエティティア「エミリーさんはそういうことなんてしないというイメージがあったから・・・」
ソワ「ラエティティアだって甘えてもいいんだよ」
ソワ「甘えられると嬉しいな 私も甘えただから」
ラエティティア「そうだったのか・・・」
ソワ「口に舌入れてもいい?」
ラエティティア「ファッ」
ソワ「顔真っ赤にしてかわいいね」
ソワ「ああ 挿入したい 糸を吐くためにも」
ラエティティア「!!?」
ソワ「怖くないよ ほら 小さくて綺麗だろう(ドレスの裾をたくしあげる)」
ラエティティア「ああっ みちゃった」
ソワ「蚕の生殖器とか 学校で見たりしなかった?」
ラエティティア「私の学校では蚕を育てる授業をやらなかったな」
ソワ「今どきの授業では命を扱うことは少ないのかな」
ラエティティア「そうだね カエルの解剖もなかったな」
ラエティティア「知らぬが華じゃないかな」
ソワ「自分に興味を持ってもらえないと体は寂しく思うよ」
ラエティティア「・・・・・・」
ソワ「股開いてみて」
ラエティティア「・・・」
ソワ「あまり自分で触ることはないでしょう?」
ラエティティア「ぐろいから・・・みたくない 服とか 表面のきらきらしたものだけみていたい」
ソワ「表面的なものは裏面があってからこそ存在できる」
ラエティティア「裏面を嫌ったから表面的なきれいなものに出会えたのなら それもわるいことではなかったのかも」
ソワ「そうだね でも嫌ったままでいいの・・・?」
ラエティティア「・・・悲しいから いやだな」
ソワ「じゃあ 一緒におちていこう 本当の安心の世界へ」

〇貴族の部屋
ラエティティア「た たまごは誰が出すの・・・?」
ソワ「心配いらないよ ドレスの材料に卵は必要ないから」
ソワ「ドレスの材料にする糸は私が出すけど」
ソワ「私一人では創作意欲がわかないから糸も出せなくなるんだ」
ソワ「ねえ ラエティティア  たまご以外の愛の結晶はいくらでもあるんだよ」
ソワ「私たちのドレス・・・作品は全て 条件付けのない 愛の結晶なのさ」
ラエティティア「・・・!」
ソワ「おいで ラエティティア つながろう」

〇貴族の部屋
  そのまま3時間抱き合っていた
ラエティティア「蚕の交尾は3時間・・・ 話してたらあっという間に過ぎちゃった」
ソワ「うんうん 気楽にしてていいからね」
ラエティティア「気楽・・・ 私、何か役に立たないといけないと思っていた」
ソワ「生きていてくれるだけでありがたいよ」
ソワ「成虫になればすぐ死ぬさだめにある私が生きているのは・・・愛と創造のため」
ラエティティア「・・・・・・」
ラエティティア「ソワ さん」
ソワ「呼び捨てでいいよ」
ラエティティア「ありがとう ソワ」
ソワ「うん 明日も抱き合って 一緒にドレスを作ろう」

ページTOPへ